Roots * music

Yackle X 鈴木裕之

1975年にセントラルアメリカンヨーヨーが日本で誕生しました。主に駄菓子屋で販売されていたヨーヨーは瞬く間に少年達の心をとらえ大流行しました···。本企画は当時を知らない世代の5人のプロフェッショナルと鈴木裕之が昭和(70年代)への思いや受け継がれている事などを語ります。

第一回は 2000年生まれのDJ/音楽プロデューサー/イベントオーガナイザーのYackleです。

進行:これが(当時のヨーヨー)そのセントラルアメリカンヨーヨーです。※いくつかのヨーヨーを見せる

毛虫のデザインが人気でした。

Yackle :あれ?これ毛虫なんですね!ヘビかと思いました。 なんで毛虫にしたんですかね

進行: それ以外で言うと、動物と魚と昆虫のデザインがあります。

Yackle :少年心的な感じなんですかね?

鈴木: 昭和の子供に勧めて問題ない図鑑的な優しいタッチデザイン。

進行:ところで鈴木さん、なぜ今セントラルアメリカンヨーヨーを復刻させようと思ってのですか?

鈴木:日本でヨーヨーの大きなブームを起こしたのは、コーラとセントラルとハイパーヨーヨーなんです。

コーラヨーヨーは80年代にもちょくちょく販売はしていて、オリンピックのタイミングであったりとか。

ハイパーヨーヨーも何度か展開されてるんです。

ただ、なぜかセントラルアメリカンだけは、70年代に販売されていた後プッツリと消息不明というか

誰もその後どうなったのか分からなかったんです。それってヨーヨーを扱っている人間としてはムチャクチャ興味をそそるじゃないですか···それで色々な人の力をお借りして···。

Yackle:わかります!僕も音楽をやっていますが、古い楽曲だったり昔のアーティストを見つけると、そこに興味がわいて1日中検索して調べます。それから、検索していてまた新しいワードを見つけて···きりがないです。(笑)

進行:今「古い」という単語がでましたがお二人とも「古い」ものには興味あるんですね。

Yackle:僕の音楽の入りはヨーヨーだったんです。ヨーヨーの大会で鈴木さんがm-floさんの曲を使っていたりだとかいろんなプレイヤーがCAPSULEさんの曲を使っていたところから音楽に興味を持ち始めて、中学校一年の頃からDJを初め、今は作曲やイベントオーガナイズ等色々させて頂いています。音楽に興味を持ち始めた当時は小学生でお金もなかったので、レンタルCDショップにいって大会で使われていた曲を探してレンタルするところから始まり、当時は既にPCに取り込んでデータ化できる様な状態でいい環境だったのでそこから色々な音楽を聴く様になったんですけど、やっぱり今はCDも結構減ってきていて、CDからデータになって、データになったことでサブスクリプションとかでより身近に音楽が楽しめる状態なんです。だけど、それってレコードがまず音楽の媒体としてあって、それからカセットだとかMD、CDになってデータになってるじゃないですか。その流れがないと今のデータまで行きついてないかもしれないし。僕が生まれてなかった時代にレコードというものがあって音楽を再生して楽しめる、演奏だけじゃなくて。記録して楽しめるっていうふうになったのはすごい大事な歴史だなと思っています。今の音楽の手法って基本的にデータの作業で作ってる人が多いんです。例えばレコードの音をサンプリングしてデータで音楽を作るけれど、元の音はレコードという媒体だったりとか。当たり前の様にしている作業ですけど、よくよく考えたらその歴史がないとそうできないことですし、その媒体で再生するからその音でいい質感になったりすると思うので、そういう部分で全部繋がってるんだなと思いますね。

鈴木: BTSのダイナマイトは「セプテンバー」をサンプリングしてる様に聞こえる。70年代のファンクとかブラックミュージックを好きな人が作ってるのかな?

Yackle :そうなんですよ。最近はブラックミュージックを元にした音楽がどのジャンルでも流行っていたりするので、それがK-POPの市場でもすごく刺さったって感じですよね。今ってどっかで聞いたことあるなって思う曲ってレコードの曲をリファレンスにして作ってたりしてる人が多い気がします。レコードから取った音をキーを変えたりテンポを変えたりして使ってる人も多いですね。それが作曲の面白い所でもあると思います。

鈴木: アパレルも音楽も流行がリバイバルしてるね。ヨーヨーも同じ様にリバイバルしてるんだけど、ちょっと違うのはヨーヨーは進化が止まっちゃってるのかもしれない。この30年くらいでベアリング搭載以降特に変化がみられない。

Yackle :ヨーヨーもこの先、デジタル化?するかもしれませんね(笑)。初音ミクみたいなのが出てきてヨーヨーをして、その映像技術で競ったり、AIがトリックを作ったり?そんな時代が来るのかもしれませんね。

進行:ヨーヨー音楽それぞれで古くから取り入れてるものはありますか?

Yackle :ん~・・・今あるものって、たとえばセントラルヨーヨーだとかレコードだとか、それがないと今のデータ化された音楽媒体とか、今の主流のベアリング入りのヨーヨーは生まれてないし。進化された部分だけを見ていたら自分自身が進化できないと思っています。この業界は情報も重要だと思うので。そういう意味では昔の楽曲で気になったフレーズをリファレンスにしてアウトプットしたりしています。

鈴木:僕も昔の動画見たり、昔のヨーヨーチャンピオンに当時の話を聞いたりします。70歳くらいの昔活躍していたアメリカのヨーヨーチャンピオンなんて味のあるトリックするんですよ。

進行: 日本はヨーヨーも音楽もアメリカから取り入れている部分が多い様に感じるのですが。

Yackle :音楽もストリートカルチャーの一部だと思ってて、例えば楽器すらない国だとビートボックスで音を奏でるっていうのがストリートカルチャーとして生まれて、それが今いろんな国で流行ってるってのもあるので。日本は輸入されたカルチャーを応用をするのが得意だと思っていて、そう言う意味でもセントラルはアメリカからのカルチャーを応用していますよね

鈴木:ハイパーヨーヨーも「ハワイのサーファーが波待ちの間ヨーヨーやっててそれがカッコいい」から、スタートしてるし。 デザインもアメリカのポップカルチャー。

Yackle :いまだにアメリカのヨーヨーはデザインもカッコいい。

鈴木:参考にしてます。

進行:先ほど情報と言われていましたが、ネット検索以外どの様にその情報を得ていますか?

Yackle:先輩に聞いたり、カルチャーに詳しい友人に聞いたりしてます。やっぱり文字で見る情報と人から聞く情報は違うと思ってます。まぁ主観も入るので全てが正しいとは思いませんが。でも年上の方からの情報はその当時の時代背景なんかも分かって面白いです。

鈴木:あっ自分も、ヨーヨーにやたら詳しい柳さん(世界的ヨーヨーコレクター)にヨーヨーの相談する。

Yackle: タワレコとかHMVとかのレコ屋は、新譜にコメントが書いてあって、これXXの推しですみたいな、このアルバムのX曲目が最高です!とか、それってリアルですよね。

鈴木: Avexのスタートそれだよね。松浦さんがレコ屋で働いてる時に聞きまくってレビューをかきまくった。それが好評でレビューを見て買う文化が始まった。

進行:最後の質問になります。ヨーヨーと音楽についてそれぞれが思う事、これからの展開についておきかせください。

Yackle:ヨーヨーの世界大会では決められた時間で曲を流しその中でパフォーマンスを行います。簡単に言えばダンスの様な。パフォーマンスに合う曲を意識して選んでるプレイヤーと、そうでないプレイヤーはすぐにわかります。意識してるプレイヤーは曲のBPMと技のテンポが同期しているけど、そうでないプレイヤーは特徴的な音だけ合わせるけど他は無視みたいな。

鈴木:投げるタイミングとかすら曲に合ってない人もいるよね。

Yackle : 音楽してるとそう言うのは気になりますね。

Yackle : 僕はもっとオリジナルの楽曲でパフォーマンスをされる方も増えてほしいと思ってます。音楽のプロと組んだり、プロに曲を依頼したりなど。

鈴木:フレッシュシングスで作ったヨーヨーはヨーヨーのデザインのQRコードから楽曲DLできたりとか音楽とヨーヨーをリンクさせてるよね。

音楽で言う DJ + ラップみたいに、ヨーヨー + DJ みたいな新しい見せ方もいいかもね。最初はちょっととんでんなーみたいにみられるかもしれないけど。

例えばヨーヨーがメインで、ラップしてるやつとDJがいたり、EXILEみたいに5人ぐらい踊るやつがいて真ん中でバンバンヨーヨー回してるとかいくらでも形はあるよね。

Yackle : 音にあってるとか、構成とかそういうところもしっかりと評価したいんです。そういう思いもあって···。じゃあ「自分でやっちゃおう」ってことで、今度自分が主催するヨーヨーイベントを行います(2021年12月11日に開催しました)。

そこで-floの☆Taku(m-flo)さんにゲストジャッジとしてお越し頂いて、音楽の点数審査して頂いたりとか、そのようにヨーヨー業界から見た外部の専門ジャッジも取り入れて展開します。

鈴木:彼の大会は「音楽に合ってるか」とかの要素が多めなんですよ

進行:シンガーみたいな立ち位置でヨーヨープレイヤーがいてもおかしくないですね。お二人の新しいカタチを期待しています。

Yackle OfficialWebSite / Instagram

2013年からDJとして音楽活動を開始する。数々のイベントに出演し経験を積み上げていき、現在は関東/関西にとどまらず全国各地のイベントに出演している。 2015年夏からは作曲活動を開始し、2016年夏からは自身がオーガナイザーのパーティー「合法」「HAKKUTSU」「00motion」などを全国各地で定期的に開催している。 現在は、Live Set/DJでのイベント出演やイベント主催に加えて、ラジオ/書物/Webメディア等の方面でもマルチに活動。
2021年には山中拓也(THE ORAL CIGALLETS)やKERENMI(蔦谷好位置)を客演に招いたシングルをリリース。 プロデュース・Remixでは、4s4ki、Novel Core、SG、吉田凜音、さなり、仮谷せいら、SAWAらが参加する楽曲を担当。また、大阪の大型ショッピング施設HEP FIVEなどのCM楽曲や、渡邉みなのYouTubeチャンネルめがねっとわーく。を始め、様々なYouTuberのOP/ED楽曲も制作している。